きんざい / FP2級 実技 / 2026年5月公表
損保顧客資産相談業務
2026年5月公表・全15問の解説
公式問題を解いた後に、正答に至る計算と判断の理由を確認するための独自解説です。5つの事例・問1〜15に対応しています。問題文・図表・選択肢の全文は掲載していません。
出典:一般社団法人金融財政事情研究会「2級 実技試験 損保顧客資産相談業務(2026年5月公表分)」。保存済みの公式PDF本文・模範解答を照合しています。法令基準日は原則2025年4月1日。問1は2025年度価額を使います。現在の制度・金額へ置き換えて解く問題ではありません。
2026年10月29日の確認時点では、公表ページがトップページの内容を表示し、公式PDFのオンライン取得を確認できませんでした。問題を参照する場合は、お手元の公式PDFをご利用ください。公開復旧の時期は不明です。
掲載状況:15 / 15問(小問①等は各問の中に記載)。本記事は非公式で、試験実施団体の監修・公認を受けたものではありません。配点・部分点は推定していません。
問番号から解説を探す
第1問:退職・社会保険・年金
問1|老齢年金は加入期間と加給年金を分けて計算
公式正答:①771,055円/②686,724円/③391円/④1,103,015円
老齢基礎年金に反映する月数は、厚生年金の24月+279月と国民年金の納付済142月を合計した445月です。未納35月を含めません。設問指定の満額831,700円を用い、831,700×445÷480=771,055.208…円。円未満四捨五入で①771,055円です。
報酬比例部分は2003年3月以前と同年4月以後で係数が異なります。260,000×7.125÷1,000×24+420,000×5.481÷1,000×279=686,723.58円となり、②686,724円です。
経過的加算は1,734×303-831,700×303÷480=390.875円より③391円。基本年金額は686,724+391=687,115円です。
厚生年金の加入期間は303月で20年以上あり、Aさんが65歳になる時点では妻は65歳未満です。設例の生計維持等の条件の下で配偶者の加給年金415,900円を加え、687,115+415,900=④1,103,015円となります。娘はその時点で子の年齢要件を満たしません。
復習ポイント:年金額は毎年度変わります。この問題では2025年度価額と設問の係数を使い、計算の途中で最新年度の額に置き換えません。
問2|退職後の健康保険・国民年金と任意加入の上限
公式正答:①×/②○/③×
① 任意継続の申出期限は資格喪失日から20日以内ですが、加入できる期間は最長2年です。「3年間」とする部分が誤りです。退職前の継続加入期間等の要件も確認します。
② 妻の第3号被保険者資格は、夫が厚生年金に加入する第2号被保険者であることを前提とします。夫の独立に伴って前提がなくなるため、第1号への変更を原則14日以内に届け出ます。健康保険を任意継続しても、国民年金の第3号資格が続くわけではありません。
③ Aさんは60歳までに満額に反映する期間が445月となる見込みで、不足は480-445=35月です。任意加入で不足を補うことはできますが、480月に達すると資格を失うため、この条件で5年間の60月すべてを納めることはできません。
復習ポイント:制度全体の「60歳以上65歳未満」と、この人が実際に加入できる月数を区別します。
問3|小規模企業共済の掛金と受取時の所得区分
公式正答:①ロ(70,000円)/②ホ(所得控除)/③リ(退職所得)
月額掛金の範囲は1,000〜70,000円で、500円単位で選択します。事業の経費として差し引く制度ではなく、支払った掛金は小規模企業共済等掛金控除という所得控除の対象です。
設問の共済金を死亡以外の事由により一括で受け取る場合は、退職所得として扱います。分割受取や任意解約などでは取扱いが異なるため、「受け取るお金は常に退職所得」と一般化しないようにします。
復習ポイント:拠出時は所得控除、受取時は受取方法・請求事由を確認する、という二段階で整理します。
第2問:自動車保険
問4|自賠責の限度額・重過失減額・保険料の基準
公式正答:①ト(被害者1人)/②ニ(3,000万円)/③ロ(7割)/④ヲ(自動車の用途・車種)
加害車両1台の場合の限度額は、被害者1人ごとに死亡3,000万円、傷害120万円です。後遺障害は程度により異なり、介護を要する一定の障害では最高4,000万円となります。「1事故合計」の限度額と読み違えないことが大切です。
被害者の過失割合が7割以上となる場合に重過失減額を検討します。ただし、設問に並ぶ2割・3割・5割という減額率をすべての損害区分へ一律には当てはめません。傷害と死亡・後遺障害では取扱いが異なります。
保険料は用途・車種や保険期間、地域区分等に応じて決まり、同じ条件なら契約する保険会社や走行距離による差はありません。任意の自動車保険の等級や運転者年齢条件と混同しないようにします。
復習ポイント:「誰を単位に」「どの損害区分か」を先に確認すると、限度額の取り違えを防げます。
問5|自賠責と人身傷害・車両保険の役割
公式正答:①○/②×/③○
① 自賠責は他人を死傷させた場合の対人賠償に備える保険です。対物賠償、自分自身の傷害、自分の車の損害をまとめて補償するものではありません。足りない範囲を任意保険で検討します。
② 人身傷害は、契約の補償範囲・支払基準・保険金額の下で、原則として過失割合にかかわらず被保険者の傷害による損害に備えます。自分に過失がある部分を一律に補償しない、という説明が誤りです。
③ 車両保険には、幅広い事故を対象とする一般条件タイプと、対象事故を絞ったタイプがあります。名称だけで判断せず、単独事故・当て逃げ・盗難・自然災害などの対象範囲を約款や契約条件で確認します。
復習ポイント:相手の身体、相手の物、自分たちの身体、自分の車の4つに分けて整理します。
問6|同じ等級でも異なる割引と事故の数え方
公式正答:①○/②×/③×
① 同じ7等級でも、無事故係数と事故有係数では割引率が異なります。初めての契約から無事故で7等級になった場合と、1等級ダウン事故の後に7等級になった場合を、等級の数字だけで同一視できません。
② 飛び石によるガラス破損で車両保険だけを使う事故は、設問では1等級ダウン事故です。10等級からの更新は9等級となり、ノーカウントで11等級になるわけではありません。
③ 人身傷害保険だけが支払われる事故は、設問ではノーカウント事故です。他に等級へ影響する事故がない前提なら、8等級から翌年9等級となります。単独事故という事故の形だけで判定せず、どの保険から支払われたかを確認します。
復習ポイント:設問は保険期間1年です。実際の契約では保険期間や約款・特約に応じた取扱いを確認してください。
第3問:法人と役員の保障
問7|役員退職金は勤続年数の端数を切り上げる
公式正答:①1,360万円/②1,820万円
勤続27年6カ月は、1年未満の端数を切り上げて28年とします。20年を超える場合の退職所得控除は800万円+70万円×(28-20)=①1,360万円です。
役員等勤続年数は5年を超えているため、この設問では通常の2分の1計算を使います。(5,000-1,360)×1/2=②1,820万円です。
役員の退職金だからといって必ず2分の1計算ができないわけではありません。役員等勤続年数5年以下の特定役員退職手当等と、今回の条件を区別します。
復習ポイント:答えは万円単位です。収入5,000万円から控除を引き、その後で2分の1にします。
問8|D&O保険の補償対象と会社の決議
公式正答:①○/②×/③×/④○
① 役員の職務に関する行為により損害賠償請求を受け、法律上の損害賠償金や争訟費用等を負担するリスクに備えるのがD&O保険です。すべての請求が無条件に支払対象となるわけではなく、約款上の免責等があります。
② 罰金や課徴金は、一般に補償対象の損害賠償金へ含めません。民事上の賠償と、刑罰・行政制裁としての負担を区別します。
③ 保険期間中の退任・新任役員も一般に対象に含まれるため、「含まれない」とする説明は誤りです。実際の補償は被保険者の定義や対象となる行為・請求の時期に従います。
④ 会社法上、株式会社が役員等賠償責任保険契約の内容を決定するには、株主総会、取締役会設置会社では取締役会の決議が必要です。
復習ポイント:補償内容の論点と、会社が契約内容を決めるための手続の論点を分けて読みます。
問9|労働災害総合保険の暫定保険料と精算
公式正答:①ハ(賃金総額)/②ヘ(全額を損金算入)/③ト(雑収入)
労働災害総合保険は、政府労災の上乗せとなる法定外補償と、使用者の法律上の賠償責任への補償を組み合わせるものです。設問の暫定保険料は、平均被用者数や賃金総額の見込み等に基づいて算出します。
保険期間1年の設問では、暫定保険料の全額を損金に算入できます。保険期間終了後、実績により確定した保険料と精算し、払い過ぎが返金されたときは、その差額を雑収入として処理します。
復習ポイント:暫定保険料の支払いと、翌段階の返還をそれぞれ別の取引として整理します。
第4問:住宅取得と所得税
問10|2025年入居の認定長期優良住宅の控除条件
公式正答:①ロ(13年)/②チ(4,500万円)/③ニ(2,000万円)
設問の2025年入居・新築の認定長期優良住宅では、控除期間は最長13年です。借入限度額は、この家族条件では4,500万円です。長女は21歳なので、19歳未満の子がいる世帯の上乗せ条件とは異なり、夫婦の年齢も若者夫婦世帯の条件に該当しません。
合計所得金額の要件は2,000万円以下です。取得した住宅の種類、入居年、家族条件によって限度額が変わるので、住宅ローン控除を一つの数字だけで覚えないようにします。
復習ポイント:住宅取得価額4,000万円、実際の借入残高2,410万円、制度の借入限度額4,500万円は、それぞれ別の数値です。
問11|住宅ローン控除の申告と単身赴任
公式正答:①○/②○/③×
① 所得税から引ききれない場合は、一定の上限の下で翌年度の住民税から控除できる制度があります。引ききれない額のすべてが必ず戻るわけではありません。
② 給与所得者でも、適用初年は確定申告が必要です。2年目以後は必要書類をそろえて年末調整で適用を受けられます。
③ 転勤による単身赴任では、家族が引き続き居住し、転勤の事情が解消すれば再び同居する見込みであるなどの要件を満たす場合、控除を継続できる取扱いがあります。本人が転居しただけで一律に適用不可とはいえません。
復習ポイント:実際の適用では居住・生計・再同居の見込みなどの条件を確認します。
問12|給与所得・家族の控除・住宅ローン控除を分ける
公式正答:①5,740,000円/②380,000円/③1,010,000円/④168,700円
給与収入760万円に設問の速算表を適用すると、給与所得控除は760万円×10%+110万円=186万円。ほかの所得は示されていないため、総所得金額は760-186=574万円、①5,740,000円です。
妻の給与収入は100万円であり、設問の条件では配偶者控除②380,000円となります。本人の所得も満額の配偶者控除が適用される範囲です。
長女21歳は特定扶養親族の控除63万円、母68歳は一般の控除対象扶養親族の控除38万円です。母は70歳未満なので老人扶養親族の控除にはなりません。合計63+38=101万円、③1,010,000円です。
住宅ローン控除は年末残高2,410万円×0.7%=④168,700円です。所得控除の合計270万円は問題で与えられているため、その指定額を使います。
復習ポイント:給与所得控除は収入から、所得控除は所得から、住宅ローン控除は税額から差し引きます。本記事は公表問題の指定条件を解説するもので、現在の申告額を算定するものではありません。
第5問:相続・遺産分割
問13|遺留分・未分割の申告・公正証書遺言
公式正答:①リ(3,750万円)/②イ(1年)/③ハ(3年)/④ロ(2人)
相続人は妻と娘2人です。二女の法定相続分は1/4、遺留分の割合はその1/2なので、指定された算定基礎3億円×1/4×1/2=3,750万円です。相続税評価額の合計から作り直さず、設問指定の3億円を使います。
遺留分侵害額請求は、相続開始と侵害する贈与・遺贈を知った時から1年以内という期間を押さえます。知らなかった場合でも相続開始から10年という期間がある点は、別の論点です。
未分割のまま申告する場合、指定の分割見込書の期間は申告期限後3年以内です。分割が成立して要件を満たせば、分割日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行います。公正証書遺言の証人は2人以上です。
復習ポイント:1年、3年、4カ月、2人を、それぞれの手続と結び付けて覚えます。
問14|宅地の限度面積と死亡保険金の非課税枠
公式正答:①×/②×/③○
① 自宅敷地は400㎡ですが、特定居住用宅地等の80%減額は330㎡までです。均等な単価として、6,000万円-6,000万円×330÷400×80%=2,040万円となります。敷地全体を80%減額した1,200万円にはできません。
② 相続人は3人なので、死亡保険金の非課税限度額は500万円×3=1,500万円。保険金2,000万円から非課税額1,500万円を引き、課税価格へ算入する額は500万円です。「非課税になる額」と「課税される額」が逆になっています。
③ 長女を契約者・保険料負担者・受取人、父を被保険者とする保険で、長女が代償交付金を準備する方法は考えられます。父から長女への保険料資金の贈与は別途贈与税の論点があり、保険金も負担者・受取人の関係に応じた課税を確認します。
復習ポイント:代償分割に保険を使うことと、贈与や保険金が非課税になることは同じではありません。
問15|相続税の総額は法定相続分で仮計算する
公式正答:①4,800万円/②815万円/③3,970万円
法定相続人3人なので、基礎控除は3,000万円+600万円×3=①4,800万円です。指定された課税価格の合計25,000万円から引き、課税遺産総額は20,200万円となります。
法定相続分で妻1/2、娘は各1/4に分けます。妻は10,100万円、娘は各5,050万円。長女の仮の税額は5,050×30%-700=②815万円です。二女も同額です。
妻の仮の税額は10,100×40%-1,700=2,340万円。相続税の総額は2,340+815+815=③3,970万円です。これは実際の取得割合に応じた按分や配偶者の税額軽減を適用する前の総額です。
復習ポイント:課税価格2億5,000万円は設問で指定されています。前問の保険金や宅地の計算から独自に再計算して置き換えません。
制度の確認に使える公式資料
リンク先は更新されるため、公表問題の基準日と最新の説明を区別してください。
更新日:2026年10月29日。解説はFLLの独自編集です。訂正・ご意見はこちら。
